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令和式のカルチャーハブを考察する。

注目記事 令和式のカルチャーハブを考察する。

サ道2025 SPのロケ地はどこかな〜?

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あの頃の下北沢が、消えた。

これは違う。間違っている。
様変わりしていた駅前の景観に言葉を失ってしまったのが正直なところだった。

かっこよくギターソロを奏でていた先輩がかっこ悪く後輩女子にすがっていた2階席の焼鳥屋もないし、
上下色ちがいのボーダー柄で表参道を闊歩していた友だちがオシャレに目覚めた古着屋もないし、
ダブルインに失敗し続けて501のままゲームが終わったダーツバーも無くなっていた。

独りよがりな”好き”をまき散らしながら、混じり合わずに共生していた歪な均衡がこの街の誇りではなかったのか。
チェーン店が立ち並ぶ商店街を抜けていく私の足取りは重かった。

下北沢駅前の風景
苦肉の策・あまみちゃん大量発生

学生時代を過ごした街と、独身時代を過ごした街を結ぶ茶沢通り。
この十数年間をなぞるように南に向かっていくと、あのドラマの、あの俳優が訪れていた、誰しもが知っているあのサウナがある。

コインパーキングの跡地に建てたというコンテナハウス風は、直前まで手前の建物に隠れているせいか、唐突に出現する感覚がある。
ここを目的地としていない通りすがりは看板を読むまで、この洒落た外観の建物をサウナだと思わないのではないだろうか。
いや、その風体は「ただのサウナと思ってもらっては困る」ということか。

さてさて。私の推している「イケメン蒸し男」に選ばれたその実力はどれほどのものか。

HUBHUB下北沢の外観

シネマカルチャーを受け継ぐ
ニューサウナ

受付に入りまず目についたのは大量のヘッドホン。
HUBHUB下北沢は「サイレントシアター®︎」を導入し、サウナ+映画というイベント企画を行っているようだ。

下北沢トリウッド、旧くはオデヲン座から受け継がれている「他人が知らない私だけが好きなもの」をアイデンティティとする下北民を確実に狙いに来ている。

かくいう私も、ホラーとバイオレンスに該当しないかだけ確かめて、前情報を入れずにミニシアターで映画を発掘することを悦びとしているので、イベント日に来なかったことを大変後悔した。

受付にあるカフェスペース
受付にあるサイレントシアター用ヘッドフォン

「ポタニカルガーデンカフェ」という緑あふれる中庭を抜けて用意された「SAUNA C」の扉を開ける。

これも事前のインプット不足でしかないのだが、このサウナを知るほど、AかBのパブリック利用で居合わせた知らない人と同じ時間を共有すればよかった。
ただ私の敬愛する爆音でチャットモンチーを聴く柴田さんはこんな名言を残している。

『Cから始まるABC』
つまり、そういうことだ(どういうことだ)

SAUNA Cの扉

背丈を少し越すくらいの仕切りでパーソナルに区切られた専有スペースには、気の利いた脱衣所、屋外らしからぬバスタブ、最近よく見かけるColeman®︎製のチェア、そして覗き込みたくなるサウナ室がある。

サウナCの外気浴スペース
入り口からの視界

少人数用の室内はコンパクトながら高低差をつけ、好みに合わせてポジショニングがとれる作りになっている。

また背面には恐らく釘よけと寄りかかりやすさを兼ねている一文字状の板が貼られており、膝裏に接する角は滑らかに磨かれている。

おやおや?
もしや、イケメンなのにいいやつ系?

サウナの内観

私が無知なだけかもしれないが、もう1つ感動したのはバスタブに刺さる逆さL字のホース。
一定量に達すると吸水されて水位を保つ構造になっている。

屋外の水風呂は火照った身体の熱を預かってくれる代わりにぬるくなっていく。
かといって、蛇口をひねったままにするのは水資源と水道代への負担に心が傷む。

このジレンマを解消しつつ、熱対流で上方に溜まったぬるめの水だけを効率的に排水し、水温キープにも一役買っている。
なんとシンプルで合理的なのだろう。

おいおい。もしや、イケメンでいいやつなのに賢い系?
まるで磯村くんじゃないか。

水風呂のバスタブ

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コンセプトから読み解く
PKHMの謎

施設で象徴的に使われていた「PKHM」という文字列と、その後に続く7桁数字の謎。

これが何を意味するのか真相に辿り着くことはできなかったが、私なりに情報をパズルし仮説を立ててみた。
前もって断っておくが、ただの推測であり正規情報として扱わないでほしい。

施設内にある謎のPKHMの文字

HUBHUBは「都市部の遊休不動産を活用して、拠点(HUB)を移動式ユニットで構築し、自宅では実現しにくい体験を日常的に提供する新しい生活提案」というコンセプトのもと発足した、三井不動産の事業創出プロジェクトに源流があるようだ。

都市開発の激流のなかで置き去りになっている土地を活用し、人の集まる場所をつくる。そこに近年ブームのサウナカルチャーを結びつける。

加えて各店舗の商圏性質を踏まえた付加価値のドラを乗せている。
日本橋は宿泊、横浜はBBQ、御徒町はビジネスユース、新百合ヶ丘はプール、そしてここ下北沢はシアター(2025年8月現在、残念ながら現在は御徒町・下北沢が営業中、新百合ヶ丘はお引越し中とのこと)

HUBHUBのシアタースペース

また移動可能なユニット構造を採用し、建設廃棄物を減らす取り組みをしているらしい。
街づくりの王者たる責任とDNAを受け取ったが、それよりもフェス会場やポップアップストアなどに共通する仮設感、言い換えるなら「終わりが始まっている雰囲気」が「HUBHUBに行ったことがあるか否か」という境界を作り、サウナーを殺到させているのではないだろうか。私の妄想が肥大する。

特番のロケ地にこぎつけたことも然り、サウナへの心酔ではなく、冷静な分析と戦略から産まれた「令和を代表するサウナ」なのだろう。

もう一声。
同じ体験を共にした者同士で生まれるアイディアがあるかもしれない。吸い寄せられたサウナーの前後時間での消費が地域経済の一助になるかもしれない。その起点となる文字通り「拠点」であることを目指しているのではないか。

HUBHUBはサウナではなかったのだ。

HUBHUBのロゴ

こうしたバックグラウンドを頭に入れ、改めてPKHMの謎解きをはじめよう。

まず、文字の並び的にASEAN的な一文の省略ではなくSMAP的なキーワードの羅列なのではないかとアタリをつけた。
そしてキーワードは受験英語くらいの易しい単語に集約されるのではないだろうか(わかる人には伝わる感覚だと思う)

この思考にインプットした情報を加えて導き出した私なりの回答はこれだ。

P:public(公共の)
K:kind(心地よい)
H:hub(拠点となる)
M:multi(複合的な)

後に続く7桁数値は、HUBHUBの立ち上げに尽力した社員番号ではないだろうか(それだと素敵だな)

念を押しておくが、これは私が勝手に考えたもので公式情報ではない。
いつか答えを知れる日を楽しみに待とう(知ってる人教えてください)

PKHMという文字列が見える柱

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なりきれない大人の
向かう先は

…ここまでの原稿を読み返してみて、乏しい知識をひけらかす頭でっかちの存在に気がついた。
かつての私だったら「PKHM」をピコ太郎に見立てた大喜利で小一時間は笑っていただろう。

社会でせっせと蓄えてきた知識と引き換えに、あの頃下北沢にいた無敵な向こう見ずが消え去っていることを自覚し、無性に虚しくなった。
そう。花束みたいな菅田将暉に見たあの虚しさと同質だ(そういうとこ)

これは成長なのか、衰退なのだろうか。
ただ、咀嚼は済んでいなくとも、淘汰と再構築という自然構造への理解と、どうしようもない切なさの両方を同時に持てるくらいには大人になったのだろう。

下北カルチャーを取り入れ昇華させたHUBHUBから時間の移ろいを感じ取り、施設を後にする。

正直にいうと私が愛した下北沢の”死”をまだ受け入れられていない。
矛盾を抱えた私の足は迷った挙句、茶沢通りを南に向かった。

綺麗な脱衣所
中庭のボタニカルガーデンカフェ
上段からのサウナ内観
サウナストーン
Coleman製のインフィニティチェア
カフェスペースにある飲食メニュー

🍽しあわせご飯

馬焼肉専門店うまえびす 三軒茶屋店
7種盛り合わせ
¥2,580(1人前)
馬焼肉専門店うまえびす 三軒茶屋の馬肉焼肉7種盛り合わせ
下北沢から逃げるように向かったのは、独身時代に通っていた馬肉専門店。30代の胃袋でももたれないヘルシーな焼肉は絶品。大好きだったメンチカツがメニューから無くなっていて、また時間の流れに絶望することになった。

ℹ️施設情報

HUBHUB 下北沢

⌛️営業時間
  • (月)09:00~23:00
  • (火)09:00~23:00
  • (水)09:00~23:00
  • (木)09:00~23:00
  • (金)09:00~23:00
  • (土)09:00~23:00
  • (日)09:00~23:00
曜日によってA,B,C棟のプランが変わる。
詳細は公式情報を確認されたし。
💴料金
【通常利用】
60分 1,800円
90分 2,200円
120分 2,500円
学割60分 1,500円(学生証要提示)
30分延長ごとに+500円

【貸切利用】
1.5時間プラン ¥6,000〜
2時間プラン ¥8,000〜
🚙アクセス
〒155-0032
東京都世田谷区代沢5丁目8-6

京王井の頭線・小田急小田原線下北沢駅
徒歩7分
🛎その他
隣にコインパーキングあり
公式サイト X Instagram

※記事の内容は取材当時の情報に基づいています。

この記事を書いた人:
ととのうプロデューサー
写真:
ととのうプロデューサー

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