
オリジナルグッズがめちゃくちゃ可愛い〜
※本記事は東京・恵比寿にあるプライベートサウナ「ひとりサウナプラス」のサウナ体験記です。
記事公開:2025.09.24
はつらつとした渋谷の痛々しさとも、新宿の魔窟感とも違う。甘ったるい香水の匂いが街中から漂ってきそうな、気取った大人の欲を感じる恵比寿。
集団で歩くときはいつの間にか最後尾を歩き、タッチパネル注文だと少し安心する。
根っからの内向的な性分の私なのだが、用事がなければ近寄ることもないこの街に密かなお気に入りのサウナを持っている。
なぜなのか気になっている人はいないだろうが勝手に続けよう。以前勤めていたデザイン会社が事務所を構えており、私にとって恵比寿は、小さな挑戦と挫折をくり返した塩っぱい街でもあるのだ。
(そして、その会社の先輩がこの「あまみメディア」をデザインしてくれている)

アトレ西館脇にある激坂を衰えを噛みしめながら登りきると、およそ恵比寿のイメージから外れる閑静な住宅街にたどり着く。
もぬけの殻となった元事務所から恵比寿南第二公園を抜け、家賃の想像が及ばないマンションの1階にお目当ての「ひとりサウナプラス」がある。

じっとりとした背汗に徹夜明けの乱れを感じた時や、襲いくるタスクの波に脳がサーマルスロットリングした際にこのシェルターにこっそり通っていた。
凱旋のつもりで来てみたのだが、ここに来るときの窒息気味な気分はさして変わっていないことに気がつき自嘲混じりにドアを開ける(こういうところが内向的なのだろう)
「いらっしゃいませ。お久しぶりですね。」
利用履歴を見ただけなのだろうが、パーソナライズされたホスピタリティの奇襲に不意打ちを喰らいながらもポーカーフェイスを保つ(うれしい)
ロゴや内装、装飾などあらゆる部分にデザインへのこだわりを感じる。
本記事の執筆にあたり色々な情報に目を通したが、この手の領域に明るい仕掛け人の存在を感じた(職業病である)

公式キャラクターのトントゥおじさんが付いたルームキーを受け取り、案内された今回の城は最奥のルーム5。
高級感のある室内はその名の通り1名仕様で、脱衣・シャワー・休憩イスと各スペースに仕切りがない。
空間を広く演出する高級ホテルのようなモダン設計ということなのだろうが、サ活中はすべての危機アンテナが圏外になる私にとっては、段差やドアの角で指を削らずに済むほうが大きい。

友人と行く個室サウナでも一応はタオルを使うのだが、完全ソロということで撮影中も含め利用時間いっぱい産まれたままの姿で過ごした。
(そして後々、撮れ高チェックとは別に入念に写り込みを確認しなければならなくなり、この全裸監督を恨むことになる)
そういえばエアコンの上に見つけた先客に新鮮な見覚えがあったのだが、向かいの公園に両親がいたことをすぐに思い出した。
この辺りに湯婆婆でもいるのだろうかと調べてみたが、真相を突き止めることはできなかった。

ソロ利用である利点を追求したこのサウナの万歳ポイントは2つ。
まず予約時に5℃間隔で80〜100℃までの室温を選ぶことができる。
玄人である私は高温がととのうわけではないことを熟知している。
はずなのだが、恐らくエアコンにいる千尋が勝手に設定したのだろう。
室温は100℃であった。
もう一つは室内に木製の枕が備えつけてあり、寝転びスタイルを受容していることだ。
マナーや衛生的に他所では禁止されがちだが、「今日はいいんだよ」と言わんばかりに背中の接地部分には大判タオルが敷かれている。

お言葉に甘えるが恩を仇で返すわけにはいくまい。
タオルから1㎟もはみ出ないようにファラオの姿勢をとる。
汗が目に入らないよう、また我慢が長引くにつれ視線が落ちていくサ活だが、なるほど。これはいい。
いつもと違う視界を無心で見つめる。
もちろんセルフロウリュウもできる。
水をかけ、俊敏かつ丁寧にファラオに戻る。
すると一度天井近くまで昇った水蒸気がゆっくりと均一に降り注いでくる。
チャーシューになった気分とすればうまく布石がオチるのだが、惜しいことに私は痩せ型なのでどちらかと言うとササミ肉。
超くだらないことを考えながら、降りそそぐキンキンのシャワーを浴び、ととのい椅子に座る。
すると天井灯に何やら文字が書いてある。
後からレビューサイトで知ったが、天井の名言は部屋ごとに違うらしい。
とことん上を向かせてくれるじゃないか。

3セット繰り返し、あの頃と変わらず私を匿ってくれた避難所を後にする。
アルコール由来の虚勢とは違う。
憑きものが浄化されたようなポジティブに身が包まれている。
この鎧は1週間も経たずに流され、また酸素濃度の低い日々を過ごすのだろうが不安はない。
私には恵比寿で積み重ねたみたらし団子のような経験と、ひとりサウナプラスがあるのだから。

ひとりサウナプラス
※記事の内容は取材当時の情報に基づいています。
そろそろ6分
分も見てくれてありがとう!
またのご利用をお待ちしております




