次回は15時チェックイン前にラフティングしたら最高そう〜
都心から2時間弱。お気に入りのプレイリストが聴き終わらないうちに到着する「関東の嵐山」こと埼玉県・長瀞。
2億年前の地層が隆起したらしい有名な岩畳から車を10分ほど走らせ、知らなければ曲がることのない小径の突き当たりに現れるその洋館の大きさにまず驚く。
鷲津麻雀でも始まるんじゃないかという妖艶な雰囲気を醸し出す建物内に入ると、外観よりもさらに広く感じる吹き抜けの80帖リビングが広がる。
テンションが爆発した同行者は、軽く30人は入れるんじゃないか(※定員9人まで)という施設内を本能のままに散策しはじめた。
1人は骨董品のレコードボックスに目を奪われ、1人は真っ先にベッドルームの確認に2階へ、1人は弾けもしないピアノに向かい、1人はかき立てられた撮影欲を満たし始める(私)
我を忘れないしっかり者(当然幹事)は、チェックイン後、生鮮食品を冷蔵庫へ入れ、すかさずサウナの電源を付けに行く。
彼のおたけびを聞きつけベランダに出ると、眼前には青々とした緑とリバービューに囲まれたステージ型ととのいスペースが広がる。
ここから長い旅をして太平洋へと向かう荒川らしい。
フライング気味に水着に着替え、斜面の高低差ゆえか妙に存在感のあるバレルサウナに向かう。
バレルサウナ特有の熱循環の効率のよさで1時間足らずで暖められた室内は約90℃。
ヒノキだろうか。扉を開けると木の香りに包まれる。
鎮座する電気ストーブにはサウナストーンが積まれ、アロマをたらすと蒸気とともにレモンミントの香りが鼻腔を突き抜ける(※アロマは備品にはないので持参するのがおすすめ)
親切に置いてあるローカル感のいい団扇をあおぐと、4~5人サイズの室温は一気に上昇する。
近況報告に華を咲かせるうちに、ひとり、またひとりと待望の水風呂に向かい始める。
冷たさと快感の絶叫を壁越しに聴きながら自分の番を待つ。
理にかなった構造やデザイン性はもちろん、バレルサウナの良いところは「秘密基地感」にあるのではないかと考えを巡らすが、水風呂の誘惑に思考を中断する(もはやどうでもいい)
水風呂はドラム缶で、木々が水面に反射している。アウトドア感があってたまらない。
自然任せな水温は16~17℃前後だろうか。火照った身体を一気に冷ましてくれる。
やや膝を曲げると首まですっぽりと収まる。
この深さも計算だろうか。
ととのいスペースまでの導線には親切にも冷蔵庫が設置してあり、これまた親切にポカリスエットが並んでいる。誰が入れてくれたのだろうか(当然幹事)。
ととのいスペースにはColeman製のインフィニティチェアが人数分並び、すでに友人は虚ろな目で天を仰いでいる。
流れる水が岩にぶつかる音、風で木々が揺れる音、休日を象徴するハトの鳴き声、時折聞こえる対岸を走る秩父鉄道の汽笛音。
普段なら拾わない音を、耳が自然と受け入れていく。
これ以上の贅沢はない。
何回もサウナを共にした仲間たちは誰かに合わせることもなく各々のタイミングで動き始め、意識せずとも順番待ちのない心地よい秩序が作られていく。
タイミングが合った組み合わせでの話題が、1人増えるとまた別の話題に変化し、1人出ていくとまた別の話題に変化する。
気の合う仲間との気楽な会話を楽しみながら5セットほど繰り返すと、身体が浮遊感のあるリラックス状態に包まれる。
時を同じくして空が夜に向かい始め、満足した私たちの関心はバーベキューへと向かう。
日が沈み仕込んでおいた食材の数々を運ぶと、ととのいスペースはBBQ場へと表情を変える。
30代にもなると肉はそこそこに、海鮮や野菜、ドヤ顔で振る舞う麻婆豆腐へと箸が進む。
かつてビールしか飲まなかった仲間たちはハイボールや焼酎、ワインなどそれぞれの嗜好を楽しむ。
「部屋にカラオケマイクがあったな」
「俺、トランプ持ってきたぜ」
「お前、イビキうるさいから別室な」
すっかり10代に戻った私たちは、もはや勝てる気がしない睡魔に抗いながら残された時間の楽しみ方を話し出す。
「朝もサウナ入るから起きろよ」
こういう事を言い出すのは、やっぱり当然幹事。
起きたらすでにサウナが温まっているのだろうな。
LiveGroup 秩父・長瀞
※記事の内容は取材当時の情報に基づいています。